INSPECTION、アバターを観て「ダークグリーン」を読みたくなりました

先日、Blue-ray版「INSPECTION」を見たのでその感想をば。
デュカプリオ、渡辺謙のネームバリューに頼った作品なのかと思いきや、しっかりエンターテイメントとして楽しめる作品でした。
人の動機を左右するのに重要な役割を果たす夢を操る、というストーリー。
訓練すれば、人の夢に入り込めるようになる。主人公もその内のひとり。
人の夢から情報を盗みだすのは簡単な方だが、より難易度の高い、人に意識を植えつけ(INSPECTION)ることに挑戦することに。
主人公がより難易度の高い仕事に挑戦する動機も自然に感じました。
この作品では、夢に階層があり、1階層目の夢から目覚めるには「Kick」か、夢の中で殺されるかのどちらか。それ以上の階層では、「Kick」で目覚めないと戻れない。夢の中で殺されると、「無」の世界に堕ちる、という設定。


ここでちょっと脱線。夢というキーワードでは、「アバター」も同種の作品だったと思います。こちらはアバターで活動中に、殺されそうになったら自分で起きることができました。
もうちょっと前の作品であるマトリックスも「夢」というキーワードで括れると思います。この作品では、夢(MATRIX)の中で殺されると死んでしまいました。もどるには、公衆電話などに掛かってくる電話にでる必要がある、という設定は、緊張感とともに、制約にもなってました。ここまで携帯電話が普及すると、固定電話さがすほうが大変ですね。


日本の作品に目を向けると、実は1983年に「週刊少女コミック」で連載していた、佐々木淳子さんの「ダークグリーン」というSFスペクタクル作品がありました。

この作品のあらすじは以下の通りです。(WikiPediaより)

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198□年12月20日。その日、世界中の人間が同じ夢を見た。
「R-ドリーム」と呼ばれるその夢の中で、人々は「ゼル」と呼ばれる謎の侵略者たちと戦い続ける。R-ドリームから出られなくなった人間は、現実では植物人間状態となり、R-ドリームの中を彷徨う羽目になる。そしてR-ドリームでの死は、現実での死となる。
美大浪人生・西荻北斗は、R-ドリームで戦士ホクトとなり、R-ドリーム最強と言われながらも自分の正体を知らずにR-ドリーム内から出られない少年リュオン、金色の肌の少女ミュロウらと知り合い、共にゼルと戦う。そして彼らはやがて、この世界の秘密へと迫っていく。

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個人的には、「アバター」はかなりこの作品と世界観が似ていて、「ダークグリーン」から何らかの影響を受けたのでは?と思えるほどでした。
また、「ダークグリーン」では、人はRドリームという共通の夢を見ていましたが、「INSPECTION」もより階層の深い夢である「無」の世界が、主人公と妻が創り上げた世界であったりするので、やはり人の意識は根底で繋がっている、というのは「ダークグリーン」から何らかの影響を受けているのでは、と思えました。


実は僕は「ダークグリーン」は最後まで読んでなくって、「INSPECTION」、「アバター」を見て「ダークグリーン」の存在を思い出した次第です。
しかし、1980年代にあんな作品が書けるなんて、佐々木淳子って人は偉大です。


余談ですが、佐々木淳子さんのSF作品は「ダークグリーン」以外にも「那由他」(GoogleIMEで一発変換できるところがすごい)、「ブレーメン5」など、名作が多いですね。